よういくふぜん
統合失調症や精神疾患をもつ親のサポートはどうなっているんだろう。
うちの夫は、両親とも精神疾患だったらしい。そして、彼も診断は受けたことはないけれど、とてもいきづらかったと思う。
何故なら、世間の常識と解離した人だったから。
お風呂は月に一回。
歯磨きはしない。
頭も洗わない。
着替えもできない。
でも、温泉には入れる。
多分温泉が近くにあれば、毎日でも入りにいくかもしれない。
ごはんつくれない。
片付けできない。
そこら辺に唾をはきちらし、平気で道路で用を足そうとする。
膵炎になり、アルコールをやめればいいのに、体調が悪くなるとガンになったと大騒ぎする。
なんとなくだけど、洗濯したばかりの洋服は肌触りが悪く、水道から出てきたお湯は肌に痛いのだ。
基本的な生活習慣は誰にも教えられなかった。
社会に適応できていたかはわからない。
わたしは、ソーシャルワーカーだから、彼を何とかせねばで、土下座もされたし、結婚したのだ。
自分で何とか、家制度でいうところの家を建て直さなければと、大騒ぎしたわりに、行動が伴わなかった。
何とかしようと話す彼はキラキラして見えたけど、結局、努力はしなかった。
多分、普通に生活して、家事もこなし、仕事もして、自分より稼ぐ妻は、彼にとって驚異でしかなく、自分よりレベルが低いと見下げていた娘も、私も社会的には自分より上だったのだ。
もしも、彼が彼の価値観で一流と言われる親戚たちのバックアップをまともに受けていたならば、多分それなりの地位を得て、それなりの成功をおさめていたんだと思う。
なくなった中村勘三郎さんがよくいっていたけれど、基本的な型を覚えていなければ、型破りはできない。覚えていないのにやるのは、単なるかたなしなのだと。
彼は自分を型破りといっていたけれど、単なるかたなしだったんだと思う。
彼は自分のこどもたちにこの三年間会いに来たこともなければ、声を聞きたいと欲したこともない。
愛着形成ができなかった。
何よりもこどもが生まれて、こどもがえりをして、いなくなってしまった。
多分、こども時代が大切なのは、大人になったとき、型を破るために型を覚える作業が必要だからだ。
そして、私もこういう人を引き寄せてしまうわたしも、多分、ソーシャルワーカーという仕事の型を覚えていないのだろうと思う。
夫と私の事例から、いろんなことをひもといていきたい。